読み終わる……

 

野川

野川

 『野川』をゆっくり読み終える。意識して文章を味わった。作品に描かれる日常の考察を楽しんだ。
 深みのある思考にくらくらした。読み進めると病気、死、過去の空襲など読む事を楽しんだと書いた
ことを反省する描写もあったが、濃密な文章にじっとり包まれた体験だった。
 
 ネタバレになるかもしれないが、私も納豆を酒の肴にしているので親近感が湧いた。
 
 読むのが流れるようだと思ったが、思い返すと知らない漢字を調べたりして、読むのをゆっくりと意
識的にしたのではなく、漢字を調べ、文章の深遠さに心打たれたりして、結果的に読書時間が長引いた
だけなのか。
 しかし長い時間読んでも、私にはちゃんと作品を読み取れたか自信がない。けれどじっくり考えさせられた。
 一種の哲学書のように読んだ。
 
 髭は筆者の言うように年取ると一本一本がしぶとくなるね。