流れ星が消えないうちに

流れ星が消えないうちに

 三日かけて読み終えた。橋本紡を初めて読んだ。
 途中まであまり感情移入できなくて、話の展開も平板に思えた。また登場人物に時々、類型的な物の見方や台詞があって少し批判的に読んでいた。
 が、しかし五章からいきなり面白くなってくるのだ。七章を読み終えたとき、少し涙ぐんでる自分に気づいた。
 
 ここからは推測だ。登場人物にありきたりな視点が出てきたのは物語の構成上の必要性からではないだろうか。変化や成長を示すためにもそんな見方をさせておいたほうがいいのかもしれない。後半以降の一歩前へ進みだした彼らの姿を描くのに意図的な表現だったのだろう。人物の性格説明の一つか。ありふれた人間を描くためにそうしたのだろうか。
 あれ? 書いていてわからなくなってきた。とりあえず、ある描写に紋切り型を見てしまい、そこに作者の意図があると思ったのだが、勘違いかも。
 色々書いてしまったが、読んで良かったと思う作品だった。
 
 追記。書き忘れ。前半を否定的に評したが、回想シーンはロマンチックで素敵だった。