小栗虫太郎黒死館殺人事件」読了。
 何週間もかかって読むつもりが、夢中になって読み終えてしまった。面白い。けれども読んだだけかもしれないと不安だ。内容をちゃんと理解できてない。全く聞いたことの無い古典や詩句の引用に圧倒された。それでも楽しんで読めた。
 作品内では、わずかだが私の知ってることが書かれていた。それはエックハルトについてだ。その箇所では「そうそう」とうなずいた。しかし知ってるのはそこだけだ。また法医学の知識が何箇所か出て小栗氏の博覧強記に屈服だ。こういうのが衒学趣味というのかと勉強になった。
 全体の内容は読み終えて気づいたのだが、数日に過ぎない。読んでると何週間もあの館にいたようだったのに。
 読了中にクラクラさせられたのは繰り返される古典の引用、暗示、仄めかし、象徴といったものだ。時折ついていけなくなったのだが。
 
 三大奇書をこれで全て読み終えた。私個人としては「ドグラ・マグラ」が三冊で一番衝撃を受けた。「虚無」は何度も読みたいシーンがある小説。そしてこの「黒死館」はもう少し若いときに読んだらもっと印象違ったと、少しくやしい思いを感じた小説になる。
追記
 風呂から上がって感想読み少し修正。面白いのはどんな所か。ついていけないのはどこかが書かれてない。反省点の多い文章だ。